2016年5月19日木曜日

照沼重輝の中国彷徨(出発)・・・43

2016.5.19木 快晴 午前5:30
 出発して3時間が経った。南の国の風の温かさと、果物のような甘酸っぱい
匂いを嗅ぎながら走った。車外の景色は原色に近い色である。眩しい太陽が
俺たちの後を追いかけてくる。今日のお供は太陽だが、暑くて有難くない気持
ちになってきた。目指すは東山という地名だが温泉付きのプールがあるそうだ。
仙台出身の土木屋さんの社長が、「今夜は酒にあり付けるかな」と早くも夕食
の心配を始めた。昼時分になり、黎族が経営する飲食店に入った。何やら
分からない物を食べたが、何であったかは記憶にないほど、味が無かった。
原始的な食器で食べさせられたことは思い出した。少々のお土産を買い、黎
族の売り子に付き合ったら喜んでいた。その食堂でインドネシア系の音楽が
流れていたことも思い出した。すでにベトナム、インドネシア、フィリッピンに近
い所まで来ていることが実感できた。午後ホテルに着いたので、部屋に入るの
ももどかしく温泉プールに浸かった。温いプールで泳いで、腹が減ったので
近くの食堂を探しに出かけた。しかし、食堂らしきものはなく、あるのは日本の
田舎の万事屋のような店に辿りついた。屋根は椰子の葉で覆われ、壁は板張
り、隙間風と友達のような店であった。パンでも買って帰り、ホテルで齧りつき
淋しい夕食を覚悟した。ところが、アル中に近い友人が目ざとく酒を見つけた。
「飯酒」と書いてあり、ご当地で飯の時に飲む酒かと思い一瞬喜んだ。値段は
5元で日本円でいうと当時のレートで80円である。ずいぶん安いな思いなが
らも無いよりはあった方が良い酒である。パンとツマミと菓子類、それに飯酒を
買い込み、ホテルに戻ろうとした。友人が酒が足りなかったら、悲惨になるから
とあと2本多く買い込んだ。不思議な酒を持って、誰かが「大事に持てよ、割れ
たら大変だから」などと言い、ホテルに戻るために車に乗りこんだ。中国人の
運転士にその酒を見せたら、笑らうような表情を見せて、何やら喋っていた。
俺は長い旅の経験からピーンときたが、何も言わないでホテルに戻った。
夕食の開始である、袋から食べ物を床一杯に並べた。飯酒が3本立ち並んだ。
次回は酒の正体が分かったを記します。
              アメリカ・中国大陸馬賊隊・・・照沼重輝

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