2015年11月26日木曜日

照沼重輝のアメリカ彷徨記(月明り)・・・新42

2015.11.26木 雨 午前6:30
 水戸弁で・・・冷めてい雨が降ってんな、まだ外は暗いな、カーテンを開けても暗いよ。
 町はずれに向かって歩いたら、家の無い地域に出てしまった。弱弱しい街灯が頑張って
辺りを照らしていた。ときおり家畜の雄叫びが聞こえてくる。暗闇の中に田舎の一本道は
消えていく。目を凝らしてずーっと先を見たが、何も目玉に入ってこない。思わず立ち止まり
更に先を見ようと目を凝らす。何も見えない暗闇を睨んで立ちすくんだ。暗闇に危険
が待ち受けているように思えたのである。思わず、後ろを振り返ると誰もいないが、背筋が
寒くなり、このへんで引き返そうと思った。街の明かりまで数百メートルもあった。乾いた
道路と秋の月が俺の足元を保護してくれている。乾いた道路と月明りが有難く感じた夜で
あった。無事に町に入り、古びたかび臭いアメリカの飯屋で、先ほどの見えない道は
どこまで行くのかなと考えながら、寒々と夕食を摂った月明りの晩であった。夕食を終え、
モーテルの部屋で、淋しく首をうなだれて食後の晩酌をやりながら、日本の故郷を思い出
してしまった。明日は明るい日にしようと考えながらいつしか寝てしまったのであった。
             アメリカ・中国大陸馬賊隊・・・照沼重輝

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