2015年6月12日金曜日

照沼重輝のアメリカ彷徨記(ロッキーの青空に)・・・55

2015.6.12 金 雲り 午前4:30
   水戸弁・・・しばらく休んだっぺな、今朝の水田風景は霧で回りがめーねーな。
   ロッキーの中腹で冷たい風に当たったら、疲れと眠気が一気に吹っ飛んだ。体力気力
が回復して、更に上に進む。私はいそいそと運転席に戻り、エンジンをかけて
青空に浮かぶ雲の方面を目指した。遠くに見える谷は果てしなく遠くに見え、ロッキーの
頂上に見える入道雲は手にとれるように見えた。一寸窓を開けてみる。ヒューヒュー、
ゴーゴーと風の音がやたらに淋しく聞こえた途端、限りない淋しさが私の心を襲って
きた。何故だろうと考えながら、頂上を目指す。思うに、日本を出てから数日目が経った
が日本語を全然話していない。周囲に知った人がいない、荒涼とした山道を走っている、
西部劇映画の一場面を思い出してしまった。映画シェーンの場面である。遠くにロッキ
ーが見え、少年が見送り、シェーンが去っていく場面である。願っていた最高の大陸横断
中であるにも拘らず、淋しい感情が湧き上がってきた。淋しい感情は払拭して、楽しい思い
出に切り替えた。頂上の大きな入道雲が肥大化し、雨模様になってきた。ロッキーの山越
えが雨になるかもと思った。ポツリ、ポツリと小粒の雨がフロントに落ちてきた。淋しい感情
を忘れかけたら、またロッキーの雨で淋しさが襲ってきた。気を取り直し、周囲の景色を
楽しむように心がけた。雨雲の切れ間から、時折青空が望めるようになった。青空の素晴
らしさに気付いた。雨雲の色と青空の色の大差を気付いたロッキー越えの一コマであった。
                                    アメリカ・中国大陸馬賊隊・・・照沼重輝

  

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